2025年に対する個人的な駄文です。
仕事面
IR情報ですでに公開されている内容ですが、弊社の主力製品の次期プロダクト開発が始まっています。 一番に掲げる目標は「クラウド最適化」によるコスト削減となっており、そこに向けてプロジェクトを進めている真っ最中です。 私自身は設計・開発メンバーおよび基盤領域のサブリーダーとして参加していて、古い技術と新しい技術の両方を把握した上で、品質に影響の出ないようにどのように作り変えていくのか、安定した新しい基盤を提供するにはどうすれば良いか、という課題と日々向き合っています。 ときには方向性の違いで議論に熱が入ってしまうこともありますが、今までの経験を活かして良い意味で現行システムを否定し、新しいシステムに活かすことができるので、楽しく仕事ができております。
自部署の次年度予算策定のための計画作成にも関わり、現実的で実現可能な計画ができたと思っています。 この資料をもとに会社の方向性を勘案しながら人員計画が作られていくのを見ていると、会社の意思決定はこういうふうに決まっていくのかー、という感じで学びのある機会でした。 プロジェクトは来年も続くので、引き続き頑張っていきたいと思います。
プライベート面
今年は技術評論社の技術誌『Software Design』にて、2025年3月号〜12月号にかけて連載「乱数のひみつ」、同11月号にて特別企画「量子コンピュータを支えるしくみ」、来年の1月号から新連載「暗号のひみつ」を執筆しました。 合計で11本の原稿を提出し、編集さんと協力して校正作業などをしていました。 どの連載・企画もすべて「現代暗号技術」という一点で共通した一貫性を維持するように執筆を心がけていました。 私たちのデジタルな世界を支える暗号技術という基盤技術の面白さや奥深さについて、連載を通して共有できたらいいなと思っています。 毎月原稿の締め切りを意識しながら執筆していて、さらにネタ探しも同時並行で行っていたので、暗号技術のことを考えなかった日はなかったです。 数年前、仕事が忙しくて暗号技術から離れていた時期もあったのですが、今またこうして好きな暗号技術のことを考えられる日々を過ごせることを心から感謝しています。
仕事の方も基盤関係で、プライベートでの連載の方も基盤技術ですが、プライベートの方がより暗号や通信に特化した深い技術領域を扱っています。 連載の方でもRFCの仕様について度々触れることがありますが、RFC翻訳対訳サイト(RFC Trans)の管理は5年以上続けていて、今も更新し続けています。 少し前はAI(ChatGPT)にRFCを要約させていましたが、最近はAI(GoogleのGemini)に一部のよく参照されるRFCの翻訳内容をレビューさせ、校正を行っています。 使った体感はかなり良い精度が出ています。 特に暗号技術の専門用語などが正しく再翻訳されていく様子は圧巻です。 Geminiのコンテキストウィンドウ(200万トークン)はChatGPTよりも非常に長いため、RFCのような長い文書で全文読み込めるときにおすすめです。 このような理由から、自分はGeminiに勝算があると判断し、Google AI Proに課金しています。
実は連載の原稿についても、執筆し終わったら必ずAI(Gemini)のレビューを受けるようにしています。 暗号技術の観点から技術的な正確性に関するレビューと、教育心理学の観点から学習者への対人支援として適切な説明の流れになっているかのレビュー、校正の観点から図表やコードが本文と乖離していないかのレビュー、といった感じで複数のAIレビュワーを使いこなしています。 Geminiは画像解析も得意みたいで、連載で使用する画像をレビューさせたら、一発で問題点を指摘したこともあり、一目置いている存在です。 ただ、そんな最強AIでも、原稿を0から作るのは難しく、試しに自由に書かせてみたら面白くない話の連想ゲームをした結果みたいな原稿ができて、うーん(使い物にならない)となったことがあります。 なので原稿作成については、自分で書きたい原稿の流れを決めて、ある程度調査した結果を整理し、その上で調査結果Aと調査結果Bの説明がつながるように前後を補足してほしい、みたいな穴埋め問題的な場面に限定してAIを使っている、といった感じです。 このおかげで編集さんによる校正で前後をつなげるための追加の説明が挿入される回数が減りました。 仕事(本業)でもAIを使った生産性改善みたいな話は以前から上がっているので、ゆくゆくは仕事でも活用できればと思っています。
おわりに
最後になりますが、今の私がこうして技術的な活動ができるのは、周りの人の支えによるところです。 仕事とプライベートのどちらの面においても、私の話を聞いてくれた人、お話してくれた人、相談に乗ってくれた人に感謝しております。 来年も引き続き、心と身体に気を付けながら努力を積み重ねていきたいと思います。