晴耕雨読

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差別やハラスメントをなくすために

社会的地位の高い人が差別やハラスメント(嫌がらせ)を行うことは、決して許される行為ではありません。 IT技術屋としての私個人が気になった差別・ハラスメント発言や、ハラスメントに対する取り組みについてまとめ、どうすればハラスメントをなくすことができるか考察します。

前提条件として、ハラスメントをする人は許しませんが、ハラスメントをした人の人格を否定するのもまたハラスメントになるので、そこは注意してください。パッションだけで物事は解決しません。主観的な意見による攻撃ではなく、客観的な事実のみをあげて、なぜその問題が発生するのか原因を考えて考察を伸ばしてください。

機械学習による差別

2019/11 : 東京大学の機械学習関係者が、機械学習によって得られた最適解によって一定の人が差別されるのは仕方がないという、いわゆる統計的差別を容認する旨の発言がありました。 しかし、統計的差別であっても差別は差別であり、統計的であるかどうかとそれが容認されるかどうかは関係がありません。 したがって、統計的差別は否定されなければなりません。 人事の意思決定を行うプログラムで機械学習をする場合は、特徴量エンジニアリングの時点で、国籍、性別、年齢、言語、宗教、政治的意見、出身、財産、地位、障害、疾患、経歴という情報を特徴量として入力しないことです。 適正と能力のみを基準として判断することが公正な人事において大切なことです。 近年、AIが人事に関わることが増えているので、AIを導入する立場の人は統計的差別について注意する必要があります。

PERACON審査員の発言

2020/8 : CEDEC2020のPERACONの一部の審査員から「『カス』とか『業界から消えろ』とか短く応援の言葉を書いて、…」といった発言がありました。 指導において暴言は許される行為ではありません。もし指導者は暴言の裏に愛があったとしても、それは許される指導方法ではありません。 一般的に、指導するときは客観的な視点のみで行うことが重要です。 例えばPERACONは「15秒でゲーム内容が理解できる」部分も評価されますが、コメントにおいては、15秒でゲーム内容を伝えるために書き方とか構成をこうした方がいい、などの客観的な意見を書くべきです。 内容が伝わらなかったからゲームデザイナーとして失格、と主観を混ぜるとハラスメント発言になります。 審査員の立場を利用して発表者に苦痛を与えたためパワハラに該当します。 主観的感覚的な指導ではなく、客観的科学的な指導を行うことが、最終的に業界全体のスキル・知識の向上に貢献できるはずです。

高専プロコン審査員のコメント

2021/10 : 高専プロコン (#procon32) の自由部門にて、一部の審査員から「僕はちょっと怒っています」「これはBlockly(ライブラリ名)そのままです」「あなた達は何を作ったんですか?」といった発言がありました。 発表内容は、フローチャート教育をわかりやすくする目的に対して、フローチャートよりもアルゴリズムの理解の方が大切なので解決策としてブロックプログラミングを使いました。という感じの発表で、最初の目的からずれている印象がありました。 某審査員は、最初に設定した目的が解決されていないから、上のような発言をしたと思われますが、主観的な意見を混ぜないでもっと客観的な視点でコメントすべきです。 「目的に対してBlocklyを選んだ理由は何ですか?」程度の質問で十分です。 「ライブラリを使って楽をしている」「何も作っていない」みたいな主観的な意見は不要です。 様々なライブラリを組み合わせてシステムを構成するのも立派な開発です。 発表者側の学生も高い技術力を持っており、目的と解決策だけに注目して質問していればより建設的な質疑応答になったと思うだけに、今回の審査員の高圧的なコメントは残念に思います。

日本経済学会におけるハラスメント対策

2021/4 : 日本経済学会ではポスターセッションで報告者と視聴者が1対1となる可能性があり、大会参加者(特に報告者)をハラスメント行為から守るための対策がなされました。 具体的には、全てのポスターセッションを録画し、全ての参加者には録画に同意するようにし、同意できない場合は大会に参加できないようになりました (参照:日本経済学会2021年度秋季大会/ハラスメント対策)。 オンライン開催における録画は、開催したことの証跡だけでなく、ハラスメント行為から守る意味もあります。

セキュリティキャンプにおけるハラスメント対策

2021/5 : セキュリティキャンプ協議会では「ハラスメント防止宣言」を公開しています。 内容としてはハラスメント行為を許さないこと・見過ごすことも許さないことや、ハラスメント研修を実施することの他に、相談窓口を内部と外部の2つ設けています。 内部は協議会事務局で、外部は法律事務所です (参照:セキュリティ・キャンプ協議会 - ハラスメント防止宣言)。 重要な点は、常に相談窓口が2つ以上あることです。 報告する側・される側に関係なく、どの立場の人も報告先が2つ以上あるようなエスカレーションフローを作成することは、ハラスメントの解決において重要なことだと思います。


気になる発言や対策への取り組み等があれば随時更新します。

以上です。