拡大形成理論(Broaden-and-Build Theory)とは、ポジティブな感情が認知の幅を広げ(拡大)、長期的な心理的・社会的資源を形成する(形成)という理論です(Fredrickson, 1998)。 一方、自己効力感(Self-Efficacy)は、特定の状況において自分の能力を信じ、成功を収められるという自己信念を指します(Bandura, 1977)。 ここでは、拡大形成理論と自己効力感の関係性と、ポジティブ感情が自己効力感を高める仕組みについて説明します。
拡大形成理論
拡大形成理論は、ポジティブな感情(喜び、興奮、愛など)が人の認知的・行動的な幅を広げ、新たなスキルや社会的つながりを築くことを助けるとする理論です。 たとえば、喜びを感じることで創造性が高まり、困難な状況でも柔軟な思考が可能となります。 これにより、長期的には心理的・社会的な資源が蓄積されます。
より分かりやすい表現を使うと、ポジティブな感情があれば失敗は成功の元と思うことで様々なチャレンジができ(拡大)、その中でスキルや知識・経験を得ることができ(形成)、そこから社会的な信頼やネットワークを構築することができ(形成)、それが日々の充実感や幸福感となることでさらにポジティブな感情を得ることができる好循環のサイクルが拡大形成理論です。
自己効力感
自己効力感は、特定の課題に対する自己の能力への信頼を指し、Bandura(1986)はその形成要因として以下の4つを挙げています。
- 直接的経験(成功体験):過去の成功が自己効力感を高めます。
- 代理経験(モデリング):他者の成功を見ることで自信が生まれます。
- 社会的説得:他者からの励ましやフィードバックが影響を与えます。
- 生理的・情緒的状態:ストレスや不安が低いほど自己効力感が向上します。
拡大形成理論と自己効力感の関係性
拡大形成理論と自己効力感には、相互に影響し合う関係があります。 まず、ポジティブ感情は自己効力感を高めます。 ポジティブな感情が増えることで、挑戦への意欲が高まり、新しい経験を通じて自己効力感が向上します。 例えば、楽しみながら学習することで学習成果が向上し、それが成功体験となり自己効力感を高めます。 また、自己効力感の高まりはポジティブ感情を促進します。 自分の能力に自信を持つことで、不安やストレスが軽減され、より前向きな感情が生まれます。 このように、ポジティブ感情と自己効力感は相互作用し、好循環を生み出します。
ポジティブ心理学は人間の強みや幸福に焦点を当てる心理学の分野であり、拡大形成理論はそのポジティブ心理学の中の理論の一つです。 また、ポジティブな感情を高めることは、動機づけが行われる自己決定理論や、認知行動療法などの認知行動科学とも関係があります。
そして、人的資本によって社会的つながりが得られ、その結果、経済的安定性を得られることが、最終的にウェルビーイングにつながると思います。
拡大形成理論と自己効力感は、ポジティブな感情が認知や行動の幅を広げ、自己効力感を高めるという点で密接に関連しています。 この関係を理解することで、教育や職場環境において、個人の成長を促進させることができます。 例えば、ポジティブなフィードバックを積極的に取り入れることで、学習者や従業員の自己効力感を高め、モチベーションの向上につなげることができます。 拡大形成理論と自己効力感の関係性を活かすことは、個人および組織の発展にとって重要です。
以上です。