好奇心とは、探索行動や認知行動を起こす動機づけのことです。
- 好奇心の種類
- 知的好奇心(epistemic curiosity):問題や課題などの知的情報領域における好奇心探索
- 知覚的好奇心(perceptual curiosity):音・光・感覚などの感触・知覚情報領域における好奇心探索
- 対人的好奇心(interpersonal curiosity)または社会的好奇心(social curiosity):人の心理や秘密などの炭塵情報領域における好奇心探索
- 好奇心探索が起こるメカニズム
- 人や動物は、認識された刺激の強さ(目新しさや複雑性)が弱いまたは強いときに、不快感や嫌悪感を伴う高覚醒状態になり、上がった覚醒度を下げようとして好奇心探索を起こす
- 拡散的好奇心(diversive curiosity):新奇性が低い環境によって生じる不快感や退屈を解消させるために多様な情報を求める探索
- 特殊的好奇心(specific curiosity):複雑性が高い刺激に触れた場面によって生じる不快感や嫌悪状態を解消させるために特定の情報を求める探索
好奇心タイプ
好奇心タイプとは、好奇心の対象に対してどんな理由でどのように探索するか、といった探索方略のことです。
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拡散的-特殊的(Diversive-Specific)
- 刺激の強さが両極端な状況に起こり、不快感を伴う高覚醒状態を解消するために探索する好奇心タイプ
- 人の行動原則として、人は常に刺激や情報に対して好奇心と不安が共存し、刺激に対する好奇心と不安の感じ方の大きさによって探索行動もしくは回避行動を起こす。
- 認知的動機づけ理論
- 人間を含む高等動物は好奇心の強い存在である
- 情報処理の最適水準を維持しようとする(拡散的好奇心)
- 外部からの情報が最適水準を上回ると回避行動を起こす
- 外部からの情報が最適水準を下回ると探索行動を起こす
- 拡散的好奇心は新奇な情報を多様に求める傾向があり、環境や自己を変化させて何か情報を得ようとする生産的な探索を行う
- 不調和を低減しようとする(特殊的好奇心)
- 不調和とは、新しい知識や情報と自分が保有している知識との間でのズレのこと
- 特殊的好奇心は情報のズレや矛盾に敏感であり、不調和の原因を解消できるまで持続的かつ積極的な探索を行う
- 広さ-深さ (Breadth-Depth)
- 好奇心探索を幅広い範囲と狭い範囲に分類した好奇心タイプ
- 情報のズレ (Information-gap)
- 予期しない出来事や説明できない出来事などの情報のズレや不足を感じたとき、ズレや不足を感じた情報やその周辺の情報を探索する好奇心タイプ
- 興味気分による好奇心(CFI)と焦燥感による好奇心(CFD)
- 好奇心探索の際に感じる気分(feeling)に着目した好奇心タイプ
- CFIは、知識が得られるという期待感から生じる好奇心探索
- CFDは、情報の不足やズレによる焦燥感から生じる好奇心探索
好奇心を伸ばす方法
- 情報のズレを活用する
- 適度な情報のズレを与えることで、人の好奇心や学習活動を高める
- 過度な情報のズレでは、怖さや不安からくる回避行動をしてしまい、好奇心探索が起こらない
- 例:
- 仮説実験授業(科学上の最も基礎的な概念や原理原則を、問題、予想、討論、実験検証の4段階を科学的な手続きに沿って実施する授業)
- 問題:題材の説明文を読んで、問題となっている事柄を理解してもらう
- 予想:問題の答えを予想する選択肢3〜4個提示し、生徒に選んでもらう
- 討論:発言したい生徒に発言させ、各自で仮説を形成してもらう
- 実験検証:実験で仮説の検証をさせ、各自の予想の成否を確認し、教師が解説を行い終了する
- 仮説実験授業(科学上の最も基礎的な概念や原理原則を、問題、予想、討論、実験検証の4段階を科学的な手続きに沿って実施する授業)
参考文献
- 『非認知能力: 概念・測定と教育の可能性』2021/8, 北大路書房
- 4章 好奇心 ―― 新たな知識や経験を探究する原動力 にて好奇心の説明と教育の可能性について書かれています。