晴耕雨読

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成功するために必要なこと(考え方と行動編)

「失敗なくして成功なし」や「失敗は成功のもと」と言われるように、失敗をする勇気と失敗を受け止めて次に活かすことは、成功するために必要なことです。 ここでは、どのようにして失敗を乗り越えていくか、その考え方と行動指針についてお話しします。

1. 考え方

苦痛や失敗の乗り越えて成功するための考え方やマインドセットについて

苦痛を喜びに変える(変態化)

人は失敗が怖いので、自分の実力以上のことをやりたくないと考えます。 勉強や仕事において常に困難や苦難は存在しており、やりたくないことや自分の実力で解決できない問題に取り組んでいるときは、精神的に苦痛です。

人は精神的な苦痛を乗り越えてこそ成長できると言われていますが、これは半分誤りです。 正確には「精神的な苦痛を喜びに変えられる人が成長できる」が正しいです。 マイルドな修羅場、つまり修羅場を楽しむことができる環境が人を成長させます。 例えば、技術界隈には「変態は褒め言葉」という文化があります。 普通の人だと精神的な苦痛を感じる作業が、その人には喜びになっていて、その積み重ねによって技術的に卓越した方を「変態」と呼んだりします。 変態と呼ばれる方は、苦痛を喜びに変えることで苦痛の価値がすり替わるため、成長を続けることができます。 その成長が、人生の幅を広げたり、他人の苦痛に共感して安らぎを与えることにつながります。 普通の人だったら途中で辞めることをやり続けることで、その人の個性や人柄が形成され、他人と比べる必要がないほどの自分の世界が作られていきます。

「継続は力なり」「努力を継続することも才能」などは、苦痛を喜びに変えることによる成果といえます。 また、リフレーミングは物事の見方や捉え方(フレーム)を変えて価値基準を変える技法です。

複数の人格を持つ(多重人格化)

人は失敗が怖いので、対人関係で傷ついたり嫌われたりするのを恐れます。 人から好かれたい・評価されたいという気持ちが優先されると、対人関係で失敗する可能性がある行動や発言を回避しようとし、消極的な対人関係になってしまいます。

解離とは、苦痛によって精神が壊れてしまわないように、複数の人格を作る心理的な無意識の防御反応です。 長い期間にわたって激しい苦痛を受けると解離性同一障害になってしまいますが、新しい環境への挑戦などで成長に必要な苦痛を受け入れるときに、意図的に解離するという方法もあります。 人は誰しも多重人格であり、ペルソナ(社会に適合するための人格)を場面や相手ごとに使い分けています。 失敗を恐れない人は常に複数のペルソナを管理しており、たとえ失敗をして上司に怒られたとしても上司や会社に対するペルソナに不備があったと感じるだけで、自身のメインの人格を否定されたとは感じません。 逆に、1つの人格に縛られている人は、失敗することで自身の人格が否定されたように感じるため、人と接するのを回避し、引っ込み思案になります。 場面や相手に応じてペルソナを使い分けて (ロールプレイをして)、多くの人と会話や議論を重ねることが、失敗を受け入れて成長することにつながります。

「嫌われる勇気」は、複数の人格を持つことによる一つの成果といえます。 また、変態化と多重人格化を組み合わせることで、聖人や菩薩のような人が生まれます。

無意識を意識する(メタ認知)

人は直感で物事を判断して失敗を回避します。 直感は、経験から素早く決断する重要な役割を果たしますが、回避性の直感で生きていると失敗を恐れて挑戦する機会を失ってしまいます。

「どうせ頑張ったところで」や「めんどくさい」と思って諦めてしまうのは、目的論に基づくと「できない」のではなく「傷つきたくないからやらない」のです。 頑張って失敗した時の自分を受け入れられないからです。 原因帰属理論によれば、悪い成績を努力しなかったせいにすれば、能力が低いせいにしなくて済むからです。 そして、回避行動が極端になると回避性パーソナリティ障害になります。 回避行動を止めるためには、自分が回避癖であることを自己受容して、認知(事実の受け止め方)を修正する必要があります。 普段気にしていない自分の意思決定プロセスを意識することで、失敗を回避する癖に気づくことができ、失敗を恐れずに新しい挑戦をする勇気を出すことで成長することができます。 また、自分が不安を抱えていることに気づいてその不安と上手に付き合うことで、なぜ不安が出てきているかがわかるようになるので、自分の心の調整力を鍛えることができます。

メタ認知とは、自分が認知していることを客観的に把握して制御することです。 「認知行動療法」は、自動思考が現実とどれだけ違っているかを検証し、思考のバランスを整えるための心理療法です。

2. 行動指針

記録と共有、観察と改善などの、成功するためにすべき行動について

記録を残して共有する

人は自分の失敗を認めたくない生き物です。 しかし、失敗の記録を残さないと、次回また同じ誤りを繰り返してしまいます。 自分の失敗談は記録を残して次に活かすことで、次回の成功率を上げることにつながります。 記録をして振り返ることは、学習プロセスにおいて大切なことです。

一方で、自分の成功を謙遜して打ち消すことは、他人があなた自身の経験から勉強する機会を奪ってしまいます。 謙遜も必要ですが、自分の成功に至るまでの意思決定やプロセスや使った知識は共有すべきです。 属人化によって組織内で生き残ろうとする生存戦略は、自分自身の人生の幅を狭めてしまいます。 知識や知見や経験を共有することは、他人のためだけではなく数年後の自分のためにもなります。 仕事や趣味で新しいことを始めたいと思った時に、その記録が必ず役に立ちます。 新しいアイデアは既存アイデアの良い部分の組み合わせだからです。

そして、人に教えるのは怖いことです。自分の知っていることは本当に正しいのかを考えると尻込みしてしまいます。 しかし、あるテーマを深く学びたいと思うなら、人に教えられるようになる必要があります。 競争よりも共有です。 ただ知識を共有するだけが教えることではありません。 進むべき道をガイドし、耳を傾け、時には別の視点を見せること、その繰り返しによって生徒が自分の力で全体像を見渡せるようになることが教えることの本質です。 その過程で得られた学びのプロセスを分析し理解し、体系化された知識への歩き方を言語化することで、自分が理解しているつもりで理解できていない部分が明らかになり、自身の成長にもつながります。

「暗黙知を形式知にすること」や「教えることによって私たちは学ぶ」などは、記録を残して共有することによる成果といえます。 「アウトプットしないのは知的な便秘」です。

現場を観察して改善する

他人の失敗の結果だけを見てその人を非難するのは簡単ですが、非難するだけでは改善できません。 目的を達成するために継続的に改善する方法として、計画、実行、評価、改善を繰り返し行うPDCAサイクルがあります。 「測定できないものは改善できない」という言葉の通り、一般的にPDCAのC (Check) から始めることが、サイクルを回す際の成功のコツとされています。

  • 計画 (Plan) : 範囲を決めて、ベストプラクティスをもとに計画を立てる
  • 実行 (Do) : 計画に沿って活動する
  • 評価 (Check) : 計画や活動が正しく機能しているかを評価する
  • 改善 (Act) : 目的を達成するために、正しく機能していない計画や活動を修正する

また、OODAループ (ウーダループ) という意思決定と実行のための仕組みもあります。 PDCAは中長期的な目的であるのに対して、OODAは短期的な目標を達成するためのループです。 観察、状況判断、意思決定、実行を繰り返し行うことで、優先順位を考慮した意思決定をします。

  • 観察 (Observe) : 現場を観察して問題点を認識する
  • 状況判断 (Orient) : 優先順位を決める(取捨選択をする)
  • 意思決定 (Decide) : 具体的な対策を決める
  • 実行 (Act) : 実行に移す

改善のプロセスはPDCAサイクルとOODAループの2つから構成されていて、それぞれは補完関係にあり、中長期のPDCAサイクルの各ステップで短期のOODAループが発生します。 つまり、改善は現場を観察することから始まります。 優先順位を決めながら色々やってみることで、何を評価に使うべきかやどのように活動すべきかなど、解決への方向性が見えてきます。 ガイドラインやベストプラクティスが常に自分や組織に当てはまるとは限らないし、理論だけで物事は進みません。 理論と実践のバランスを保つことが大切です。 そして、自身や組織のガバメント(観察して目標に向かってないものを修正する作業)で重要なことは、ルールのテーラリング(ルールを組織に合わせること)です。 守りにくいルールは、ビジネス活動などのメインの活動を阻害するだけです。 定期的に見直して守りやすいルールに修正することは、メインの活動の利益を最大化したり、成長の速度を上げたりするために必要なことです。

「守破離」は、現場を観察して改善することの拡張といえます。 「守」はルールを回してみること、「破」はルールのテーラリング、「離」は他との融合 です。


以上が私が考える、成功するために必要な考え方と行動指針です。 失敗しないと絶対に成功にはたどり着けません。失敗を経験せずに人生を生き抜くことはできません。 数年後にもう一回読んでみて考えが変わったら修正します。 私の考えが誰かにとっての別の視点になれば幸いです。